2026-08-24|lullaby株式会社 代表取締役 坂口 大晟

インサイドセールス実践ガイド
——商談獲得のKPI設計・接続率対策・体制づくり

インサイドセールスの目的は、突き詰めれば1つです。フィールドセールスが受注に集中できる「質の高い商談」を、安定して供給し続けること。このガイドでは、営業・営業企画の実務者向けに、役割分担・KPI設計・接続率対策・体制づくりを、多数の営業組織の商談獲得を支援してきた立場から整理します。

SDRとBDR——同じやり方で回すと両方失敗する

インサイドセールスが成果を出せない原因の多くは、性質の違う2つの仕事を同じやり方で処理してしまうことにあります。

SDR(反響型)BDR(新規開拓型)
起点問い合わせ・資料請求などのインバウンドこちらから仕掛けるアウトバウンド
勝負どころ速さ。リードが熱いうちに接触する設計。誰に・いつ・どの経路で届けるか
リストの性質向こうから来る(量は市況に依存)自分で作る(リスト設計が成果の上限を決める)
典型的な失敗対応が遅れて熱が冷めるリストの上から順に架けて焼き畑になる

組織が小さいうちは兼任でも構いませんが、KPIと振り返りは必ず分けてください。混ぜると、どちらの改善も打てなくなります。

KPI設計——「商談数」から逆算し、「質」で締める

KPIは行動量から積み上げるのではなく、目標商談数から逆算します。

必要架電数 = 目標商談数 ÷(接続率 × 商談化率)
例:月20商談が目標で、接続率15%・接続からの商談化率10%なら、必要架電数は約1,333件。

このシンプルな式が重要なのは、どの変数を改善すべきかを分けて考えられるからです。架電数を増やすのか、接続率を上げるのか(リストと時間帯と経路)、商談化率を上げるのか(トークとターゲットの一致)。打ち手はそれぞれ別物です。

そして最後に必ず「質」の指標で締めます。アポ数だけをKPIにすると、商談にならないアポが量産されます。有効商談率(フィールドが「会う価値があった」と判定した割合)と、その先の受注率までを月次で見て初めて、インサイドセールスの評価は成立します。

接続率10%台の時代に、どう届けるか

電話の接続率は10%台まで下がっています。この前提で成果を出すには、経路と精度の両方を変える必要があります。

  1. 到達経路を増やす。電話・メール・フォーム・手紙・SNS。1経路で届かない相手に別経路で届く設計にする。当社データベースの実測では、代表電話が取れる企業は53.4%しかなく、代表電話が無くても部署直通なら届く企業が3万社あります
  2. かける時間帯と順番を設計する。つながらなかった記録も資産です。「何時にかけてダメだったか」を残し、次は別の時間帯に回す
  3. シグナルで優先順位を付ける。求人を出した、補助金を受けた、展示会に出た——動きのある会社から先に架ける。同じリストでも消化順で成果が変わります

時間の使い方——業務の70%を占めるノンコア業務

インサイドセールスの業務時間の約70%は、リスト作成・事前調査・文面作成・CRM入力といった、顧客との対話ではない業務が占めています。ここを自動化・仕組み化できるかが、同じ人数で商談数を伸ばせるかの分かれ目です。優先順位の付け方は「インサイドセールスの業務の70%はノンコア業務」で詳しく解説しています。

自動化の受け皿として営業AIを検討する場合は、営業AI・AI SDR活用ガイドで「人の作業を速くするAI」と「人の代わりに動くAI」の違いから確認してください。

内製か、外注か——分け方の目安

状況向く選択
勝ちパターンが未確立(何が刺さるか探索中)内製中心。学びが社内に残ることが最優先
勝ちパターンはあるが実行量が足りない外注・代行の併用。設計は自社、実行を拡張
新市場・新セグメントの検証小ロットの外注で試し、当たったら内製化

外注で失敗する典型は、「リストも戦略も丸投げ」です。ICP(理想顧客像)とNG条件だけは必ず自社で握り、実行と改善サイクルをパートナーと共有する形が、経験上いちばん機能します。

このガイドの各論

商談獲得の伸びしろを3分で診断

8問に答えると、適正な商談単価・リード単価と、いま優先すべき獲得手法がわかります。

3分でポテンシャル診断(無料)